「自分はいつまでも若い」などというのは若者だけが持つ幻想である。
全力で生きたなら、そして満足できる結果が出ていれば、年相応になってもあまり気にしないのではないだろうか。自分は全力で生きていないので、年齢を重ねる事はいい気分ではない。
「わが生涯に一片の悔い無し」

こんなセリフを言ってみたいものである。
人生の時間は有限なので、できる限りの事はしたいと思う。
老化しない世界が来たらどうなるのだろうか考えてみた。
人口が増える。
食料生産能力が飛躍的にあがったとしても、いつかは限界がくる。
となると子供を産まなくなる。
というか、産めなくなる。
誰かが死ねば、子供を産む権利を得る。
その権利は売買されるのではないだろうか。
どうにもならないくらいの絶大な権力者が生まれ、中世の世襲以上に、支配階層が固定化される可能性もある。
「死ねば皆一緒」というのがあったからこそ、「まあいいか。」という気持ちがあった。しかし、老化しないとなると、死が怖くなるかも知れない。
死にたくても簡単に死ねなくなるかもしれない。
「拷問300年」などという刑を受ける事になったらと思うとぞっとする。
長く生きていれば色々ある。
「俺は500年前に、80年の有期刑くらってたよ。」みたいな。
老化しないなら、毎日グダグタしそうである。 いろいろな事に飽きそうである。
人生は、有限だからこそ美しく感じるのではないだろうか。
人類は地球に繁殖したカビみたいなものであり、天変地異を待たずして滅ぶだろう。
しかし、その前に老化しない技術は作れそうである。
人類はパンドラの箱を開けてしまった。
もしかしたら、自分の世代も該当するかもしれない。
そのうち安くなるが、最初は、お金がある者のみが寿命を長くすることになるだろう。生きるか死ぬかも金次第。現在もそれに近いが。
スカイ・クロラ シリーズ 森博嗣

平和が実現した社会で、人々は戦争を求める。戦争は、戦争請負会社同士が行う。そこでは、キルドレと言われる、生物的に大人になれない少年少女が、パイロットとして闘っている。普通の人間はそれの戦争から生まれる悲劇を見て、生きている意味を実感する。
「でも、殺し合うことに生きる意味を見出すなんて、やっぱり間違っていると思う。」
「そうかもしれません。僕には良くわからない。」
「だって、もともとはね、何かを奪い合うために戦ったわけでしょう?戦わないと生きていけなくなる。そういった争いが生物界には必然的に存在した。そして、勝利者だけが生き延びた。でも、いまはそうじゃない。人間は知恵を絞って、お互いに戦わなくてもよい社会を築きあげたはずなの。」
「奪わなくても良い。だからこそ、純粋に戦えるのでは?」Cradle the Sky 森博嗣