貧困は自己責任か
「新自由主義」
新自由主義をざっと要約するとこうだ。
○市場原理主義に任せる。
○人は利益のみを追求するものであり、それでよい。
○小さい政府。
○低福祉・労働者の保護は低い。
○規制緩和による競争を促進。
○自己責任が基本。
小泉政権時代、新自由主義が加速した。
小泉政権の方針だけではない。
社会全体がそっち方向へ向かっていった。
その流れは、労働市場の変化だけでもはっきりとわかった。
非正規雇用が増えた。
彼らの賃金は減少。
解雇も進み、残った労働者は解雇労働者の分穴埋をめする。
浮いた金で会社は潤った。
株主配当は3倍になった。
格差は拡大した。
株や不動産で、働いてないのに多額の金を手にする人達がいる一方、必死に働いても生活がようやっとの人達がいる。ここでは、後者の状態を「貧困」と呼ぶ事にする。(貧困には絶対的な基準と相対的な基準がある。ここでは、国内における後者の意味で使っている。)
特定の人に多額の利益が配分されるシステムが悪いとは限らない。
「頭を使って稼いだ人間の何が悪い。」
「一生懸命勉強して、大企業の正社員・公務員にでもなればよかったではないか。」
「株はリスクを抱えているから、リターンが多くて当然だ。」
「競争が経済を活性化する。」
「貧困になったのは、先の見通しが甘く、勉強してこなかったからだ。」
もちろんそれらは間違っているとは言えない。
ただ、一つ忘れてはいけない事がある。
貧困はその個人だけの責任ではない事。
貧困を個人の責任だけで片付けてはいけない。
「貧困の原因は、個人に依存する」
という意見は根強い。
たしかに貧困になる原因の一つに、彼らの将来の見通しの甘さがなかったとは言えない。
しかし、彼らは働いてないわけではない。
仕事をして、まじめに一生懸命働いている人が多い。
むしろ、きつい仕事のほうが低賃金だったりする。
この状況は日露戦争勝利後の日本に似ている。
日露戦争後、工業国へと転換した日本には、軍需産業で財をなした成金がいた。
一方、農村から都市へ仕事を求めた人々を待っていたのは、過酷な重労働と低賃金だった。
彼らは貧しい生活を強いられ、貧民窟という場所に集まって、暮らしていた。
当時の政府は、拡大する貧民窟の住民の調査に乗り出す。政府が出した結論は、「彼等は怠惰・無能・虚弱・放蕩が原因で貧困に陥った。政府が救済する必要はない。」というものだった。
政府は、貧困の原因を、社会構造ではなく、個人にあると結論付けた。
さて、今の日本はどうだろうか。
「一生懸命働いているけど、貧乏です。」
きちんと仕事をしている人の生活が四苦八苦するのは、社会の構造に、根本的な問題がある。少なくとも、個人だけの責任ではない。
つづく
- Calendar
<< March 2023 >> Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
- search this site.
- tags
- archives
-
- 202111 (1)
- 202106 (1)
- 202104 (1)
- 202103 (1)
- 202012 (1)
- 202011 (1)
- 202007 (1)
- 202005 (3)
- 202004 (2)
- 202002 (1)
- 202001 (2)
- 201912 (2)
- 201911 (1)
- 201910 (4)
- 201909 (3)
- 201907 (2)
- 201906 (2)
- 201905 (4)
- 201904 (3)
- 201903 (6)
- 201902 (6)
- 201901 (7)
- 201812 (2)
- 201810 (5)
- 201809 (6)
- 201808 (2)
- 201807 (3)
- 201806 (1)
- 201805 (2)
- 201804 (2)
- 201803 (1)
- 201802 (3)
- 201801 (10)
- 201712 (4)
- 201711 (5)
- 201710 (2)
- 201708 (2)
- 201707 (6)
- 201706 (2)
- 201703 (8)
- 201702 (2)
- 201701 (6)
- 201612 (3)
- 201611 (3)
- 201610 (6)
- 201609 (1)
- 201608 (1)
- 201607 (5)
- 201606 (2)
- 201605 (1)
- 201603 (1)
- 201601 (3)
- 201511 (1)
- 201510 (4)
- 201509 (2)
- 201508 (2)
- 201507 (1)
- 201506 (4)
- 201505 (3)
- 201503 (2)
- 201502 (4)
- 201501 (2)
- 201412 (4)
- 201411 (8)
- 201410 (6)
- 201409 (10)
- 201408 (4)
- 201407 (8)
- 201406 (6)
- 201405 (13)
- 201404 (18)
- 201403 (14)
- 201402 (13)
- 201401 (7)
- 201312 (6)
- 201311 (1)
- 201310 (9)
- 201309 (7)
- 201308 (5)
- 201307 (4)
- 201306 (8)
- 201304 (1)
- 201303 (2)
- 201302 (11)
- 201301 (5)
- 201212 (9)
- 201211 (8)
- 201210 (2)
- 201208 (4)
- 201206 (4)
- 201204 (2)
- 201203 (8)
- 201202 (3)
- 201201 (4)
- 201112 (6)
- 201111 (5)
- 201110 (2)
- 201109 (2)
- 201108 (2)
- 201107 (2)
- 201106 (3)
- 201105 (2)
- 201104 (2)
- 201103 (6)
- 201102 (2)
- 201101 (3)
- 201012 (1)
- 201011 (6)
- 201010 (2)
- 201009 (3)
- 201008 (2)
- 201007 (2)
- 201006 (3)
- 201005 (5)
- 201004 (3)
- 201003 (5)
- 201002 (2)
- 201001 (2)
- 200912 (8)
- 200911 (17)
- 200910 (6)
- 200909 (1)
- recent comment