例えば江戸時代。
江戸時代は長く、社会は前期と中期以降でかなり異なる。
江戸後期を、外国人の視点でとらえた本がコチラ。
逝きし世の面影 渡辺 京二

江戸末期から明治初期に日本を訪れた外国人の言葉を中心に、労働・性・自由・身分・風景・信仰と祭りなどのテーマに分けて、当時を解説している。
弟二章 陽気な人々 より
オズボーンは江戸上陸当時、「不機嫌でむっつりと顔にはひとつとして」出会わなかったというが、これはほとんどの欧米人観察者の眼にとまった当時の人々の特徴だった。
ボーヴォワルはいう。「この民族は笑い上戸で心の底まで陽気である。」
「日本人ほど愉快になり易い人種は殆どあるまい、どんな冗談でも笑いこげる。そして子供のように、笑い始めたとなると、理由もなく笑い続けるのである。」リンダウ
「みんな善良な人たちで、私に出会うと親愛の情をこめたあいさつをし、子供たちは真珠色の貝を持ってきてくれ、女たちは籠の中に山のように入れてある海の不気味な小さい怪物を、どう料理したらよいのか説明するのに一生懸命になる。根が親切と真心は、日本の社会の下層階級全体の特徴である。」アンベール
彼(アンベール)が農村を歩き回っていると、人々は農家に招き入れて、庭の一番美しい花を切り取って、もたせてくれ、しかも絶対に代金を受け取ろうとしないのだった。善意に対する代価を受け取らぬのは、当時の庶民の倫理だったらしい。
弟一章 ある文明の幻影 より
(中略)・・・それはいつ死滅したのか。むろんそれは年代を確定できるような問題ではないし、またする必要もない。しかし、その余映は昭和前期においてさえまだかすかに認められたにせよ、明治末期にその滅亡が確認されていたことは確実である。
そして、それを教えてくれるのは実は異邦人の観察者の著述なのである。