しかし、現代日本人は低俗になりすぎている。例えば、働かないで不労所得で稼ごうとするような者が大量に増えた。彼らは己の利益にしか興味がなく、社会のことなど全く考えていない。
日本に限った話ではないが、精神教育なき資本主義が辿り着く未来は、「格差と分断社会」である。
そのような状況で、古の日本人を振り返ることは原点に立ち返るために必要であろう。

内村鑑三が紹介する代表的日本人は以下の五人。
○西郷隆盛
明治維新の立役者である。
「我々が一戦を交えると、この罪のない人々が、我々のせいで苦しむことになる(江戸城無血開城)」
「文明とは、正義の広く行われることである、豪壮な邸宅、衣服の華美、外観の壮麗ではない。」
○上杉鷹山
困窮する米沢藩を、倹約と産業振興で、長期間かけて復旧させた。
「赤ん坊は自分の知識を持ち合わせていない。しかし、母親は子の要求をくみとって世話をする。それは真心があるからである。真心は慈愛を生む。慈愛は知識を生む。真心さえあれば、不可能なものはない。役人は、民には母のように接しなければならない。民を慈しむ心さえ汝にあるならば、才能の不足を心配する必要はない。」
○二宮尊徳
貧しい出身ながら、倹約・善政に努め、荒廃した村を普及させた。
「金銭を下付したり、税を免除する方法では、この困窮を救えないでしょう。まことに救済する方法は、彼らに与える金銭的援助をことごとく断ち切る事です。かような援助は貧欲と怠け癖を引き起こし、しばしば人々の間に争いを起こすもとです。荒地は荒地自身のもつ資力によって開発されなければならず、貧困は自力で立ち直らせなければなくてはなりません。」
○中江藤樹
関ヶ原合戦後の、荒廃した世界でも、四書(論語・孟子・中庸・大学)を読み、人々に道を説いた。
ある日、藩の公金を馬に着けたまま失念した家臣がいた。命で詫びようと思っていたところ、馬子(馬の世話をする人)が公金をそっくり届けに来た。家臣は礼を払おうとしたが、馬子は受け取らない。中江藤樹先生の教えだという。「先生は、利益を上げる事だけが人生の目的ではない。それは正直で、正しい道、人の道に従う事だけである、とおっしゃいます。私ども村人一同、先生についてその教えに従って暮らしているだけでございます」
○日蓮
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彼らに共通しているのは、質素な生活で、私利私欲はなく、己の信念に従い生きたということ。生死を超越した生き方はいつの時代にも輝きを放つ。
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