蜜柑の選び方。
インターネットで調べてみたが、いくつか関連するサイトがあった。
まとめると、おいしい蜜柑は概ねこのようになる。
①小さい蜜柑。
②色の濃い蜜柑。
③皮の薄い蜜柑。
④形が平たい蜜柑。(これ「偏平」というらしい。)
真偽を確かめるため、さっそく何種類かの蜜柑を用意した。
食べる前に味の予測をし、蜜柑を順位付けした。
そして実際に食べてみた。
しかし、実際の蜜柑の味の相対評価ランクは、予測通りの順番ではなかった。
味には主観もあるだろう。ビールを飲むのが趣味といっておきながら、どのビールの味も同じにしか感じない私の舌の感度が低いのかもしれない。また、試行回数が少ないので、私の実験は信頼できるデータではないかもしれない。しかし少なくとも私は、初心者が購入前に蜜柑の味の予測をする事は困難ではないかと思った。
では、もし本当に予測が困難だとした場合、初心者がおいしい蜜柑を見分けるには、どうすればよいのであろうか。
思うに、おいしい蜜柑を見分けるのが難しい場合は、蜜柑に聞いてみれば良いと思われる。
すなわち、蜜柑を手に取り、蜜柑に語りかける。
「蜜柑よ蜜柑よ。あなたはおいしい蜜柑なのですか?」
そうすると、蜜柑が語りかけてくる。
「フフフ、僕を選んだね。正解。僕はおいしい。インディアン嘘つかないとかいう言葉があるけど、蜜柑も嘘をつかないんだよ。さあ、早く食べてみてごらん。」
この蜜柑の営業トークは、イマイチ説得力に欠ける部分があるかもしれないが、こういう自信のありそうな語りをする蜜柑は、おいしい蜜柑なのである。
このような蜜柑味予測手法は、非科学的で何の根拠もないと思われるかも知れない。
事実、蜜柑から聞こえてきたその言葉は、実際には蜜柑が発したものではなく、蜜柑を手にとった人間の心の中から出てきた言葉であろう。
しかし、この点は実質的に問題とはならない。蜜柑は語ったのである。そして、自らおいしいと語る蜜柑は、おいしい蜜柑なのである。
高野山、比叡山と並ぶ日本三大霊場の一つである恐山(青森県)に、イタコといわれる仕事をしている人達がいる。
相談者の希望する死者の霊をイタコ自らに乗り移らせ、相談者とその霊が語る事ができるという仕事である。
もちろん「霊」などいうものが存在し、さらに、それが人間に乗り移るなどいった事が事実である可能性は極めて低いであろう。
現にこのようなエピソードがある。昔、稲川淳二がイタコに相談し、母親の霊をイタコに乗り移らせた。イタコに乗り移った母親の霊は、稲川淳二に対し語り始めた。
「淳二や、淳二・・・」。しかし、稲川淳二の本名は稲川淳二ではなく、稲川良彦(よしひこ)である。
しかし、だからといって「イタコはインチキだ」だとかいう批判は拙速である。
例えば、こういう相談者がいたとする。彼は親不孝を続けてきた。彼は子供だった。時が過ぎ、彼は大人になった。彼は亡くなった親に謝りたかった。そして現在の自分を報告したかった。しかし、実際にそれはかなわない。そこで、イタコが彼の親の霊を自らに乗り移らせる。彼はそれを親の霊だと信じ、その霊と語る。それで彼の心の一部が穴埋めできるならば、霊の存在の真偽に関わらず、彼の目的は達成できる。
「お母さん、あの頃は悪かったね。」
「いいんだよ息子よ。子供というのは子供だから子供なんだ。それが普通なんだ。大人になれたんだからいいさ。」
「お母さん、いま俺元気でやってるよ。」
「そうか、それを聞いて安心したよ。これからも頑張れよ。」
イタコの修行は厳しいらしい。また、盲目の女性が多く、目が見えない分、相談者の心が良く見えると言われている。
イタコの相談料は一回数千円が相場である。イタコは、金儲け主義のカルト宗教団体や、くだらないTV番組の心霊・超能力話、オカルト通販商品等とは次元が違う。イタコは厳しい修行を終えた、熟練の心理カウンセラーなのだ。
さて、蜜柑の話に戻ろう。
蜜柑の味を、素人が食べる前に判別するのは難しい。
しかし、買った蜜柑は、よほどまずい味でない限り、すべて食べる事になるだろう。
それゆえ、実際の味に関わらず、自身が買ったみかんは、常においしいと思い込んだほうが合理的である。
故に、蜜柑は語るのである。本当に蜜柑自身が語るのか否かは問題にならない。自らをおいしいといった蜜柑はおいしいに違いないのだ。

さあ、スーパーなどで蜜柑に語りかけてみて見たまえ。
蜜柑はきっとこんな風に答えるだろう。
「僕はうまいよ。食べてみてごらん。」
その蜜柑はうまい。蜜柑自身が言ってるから間違いない。
結論
どうせそれ食べるんだから、うまいと思って食えば良い。
(スーパーなどで蜜柑と言葉を発しながら会話して、変な人扱いされたとします。多分お店の人に何も言われませんし、大丈夫だとおもいます。しかし、万が一お店の方に心配されて話かけられとしても、間違っても私の名前等は出さないでください。)
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