Deprecated: Assigning the return value of new by reference is deprecated in /home/users/1/hungry.jp-yboki/web/boki/class/View.php on line 25

Deprecated: Assigning the return value of new by reference is deprecated in /home/users/1/hungry.jp-yboki/web/boki/class/View.php on line 30

Warning: Cannot modify header information - headers already sent by (output started at /home/users/1/hungry.jp-yboki/web/boki/class/View.php:25) in /home/users/1/hungry.jp-yboki/web/boki/class/View.php on line 81
どうでもいいブログ-会計研修室の放課後::あなたは何者ですか?

あなたは何者ですか?

雨の日も「そこ」へ行かなければならなかった。
靴にビニール袋を巻き、なるべく水が入らないようにする。
それでも濡れる時が多く、予備の靴下をポケットに入れておく。
原付バイクで、いつもの「そこ」へ向かう。
古いヘルメットのシールドに水滴がつく。
シールドがぼろいのか、防滴剤の効果はほとんどない。
よく見えないからシールドを上にはずす。
今度はメガネに水滴がつく。
危ないからスピードを落とす。
細い雨道で、車に追い抜かれるときは怖い。
自宅から40分ほどで「そこ」へ着く。



職業は何ですか?
「無職です。」
最初は抵抗があった。
しかし、そのうちそれが当たり前になり、何とも思わなくなっていった。

時と場合によってはこう言ってみた。
「私はパチプロです。」
パチプロは社会の寄生虫なのだから、無職のほうが余程マシである。
しかし、アウトローのような感覚で、なんとなく「パチプロ」が「無職」よりかっこいいような印象を他人に与える気がした。



私はいったい何者なのか?
東京大学で教鞭をとる立花隆は、東京大学の新入学生に対しこう言うらしい。
「君達はいま何者でもない。これから自分を創っていくのだ。」
確かに、学生が受験勉強で得た教科書の知識など、社会経験豊富な大人に比べれば無いに等しい。

では大学中退無職の私はいったい何者なのか?
25歳まで、一度も仕事せず、生活費をパチンコで賄っていたのだから、多分「パチプロ」に該当するだろう。そして、ただそれだけの存在なのだろう。

あなたは何者ですか?
私は「パチプロ」です。ついでにいうと、「自我肥大のパチプロです。」「勉強しているだけで偉くなった気がしている、ただのパチプロです。」



あの頃は不安でいっぱいだった。

自分の将来はどうなるのだろう。
このままだったらどうなるのだろう。
一生こんな生活を続けるのだろうか。
一生仕事をしないで終わるのではないだろうか。
パチンコさえ覚えなければ、きちんと仕事ができたのではないだろうか。

お金が溜まると勉強する。
貯金が底を付きそうになると、またパチンコ屋へ行く。
お金が溜まると勉強する。
その繰り返し。

パチプロも楽ではない。
早いときは朝6時から並び、一瞬の勝負で台をキープする。
その台が糞台だった場合、朝から負けるために並んだ事になる。
店に嫌われないよう、目立たないようにすごし、他のパチプロに気を使う。
有効な投資をしているにも関わらず、結果がでず、時給がマイナスに終わる事もある。
朝から晩まで12時間大音量の中ですごす。
娯楽性など感じず、延々とお金のためにひたすら「作業」を繰り返す。
何より「自分は社会の寄生虫である」という精神的ダメージが大きい。



このままではいけない。
仕事をしなければならない。
しかし、プライドだけが高くなった平均時給3000円の寄生虫が、低賃金でこき使われる道を選ぶのは難しい。
面接の電話を掛けるのが怖い。
断られるのが怖い。
何か否定されるのが怖い。
自分が少しでも傷つけられるのが怖い。
だから、自分は高い社会的地位の殻を被り、すこしでも自分を守らないといけないのだ。



雨の降る夜、差し引き数万円のマイナス投資が終わる。
冷たい雨に打たれながら、パチンコ屋を後にする。
この甘釘では、明日もまたパチンコ屋へ行かなければならない。

「何にも咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。(平常心 尾関宗園 徳間書店 1974年)。」高校生の頃に買った本の一文。
この言葉には何度も励まされた。

今夜が雨なら、明日の朝はきっと晴れるだろう。
いや、晴れにしてみせる。

「俺は勝つ!」
「俺は勝つんだ!」
「俺には公認会計士試験に合格する以外の選択肢はないんだ!」

自宅へ戻った私は、濡れた服を着替え、勉強机へ向かった。

(本日も講義がなく、電話番で待機です。明日から毎晩講義なので、ブログの書き込みが減ります。)
Calendar
<< March 2023 >>
SunMonTueWedThuFriSat
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031
search this site.
tags
archives
recent comment
others
admin