
タイトルの人物はビートたけしさんの両親である(以下敬称略)。
父親の菊次郎は飲んだくれの男だった。一方、母親のさきは、しっかりしていて、貧乏から脱出するには教育しかないと考え、教育熱心だった。
北野家のエピソードがいろいろ書かれているが、特に母親のさきとの人生を通じたやりとりが多く書かれている。
たけしは、さきの教育の甲斐もあり、大学に進学する。
しかしさきに反発し、また自分の生き方を求め、大学を中退。芸人になろうとする。
さきは、芸人として売れたたけしに、何回もお金を要求する。
たけしの妻にも、「毎月10万円おくりなさい。」と要求した。
さきが病気になり、死を悟ったとき、たけしに紙袋を渡した。
その中には、通帳があり、いままで渡したお金が全額入っていた。
「芸人はいつ売れなくなるかわからないから。」
という、さきの配慮だった。
結局最後まで、たけしはさきに勝てなかった。
『人間が子供から大人になったかどうかは、親に対しての感情の持ち方できまるんじゃないか。おいらはそう思っている。父親や母親をみて、「可哀相だな」「大変だったんだろうな」と思えるようになったら、そこで大人への第一歩を踏み出したのであり、幾つになっても「オヤジはは許せねぇ」などといっているようでは、まだガキだと思う。』byビートたけし
年齢を重ねると、大人の苦労がわかってくる。
子供のころに見た両親の年齢になると、自分と当時の両親が被って見えるのだろう。
私にもいろいろあり、両親が嫌いだった時期があった。しかし、育ててくれた苦労を考えると、いまでは感謝の気持ちしかない。