産業カウンセラーを目指して心理学勉強中、(ベルトが)ピチピチの大学生、S吉です。
本日は、スタンフォード監獄実験と、私の経験についてのお話です。
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wikipediaより
スタンフォード監獄実験
1971年8月14日から1971年8月20日まで、アメリカ・スタンフォード大学心理学部で、心理学者フィリップ・ジンバルドーの指導の下に、心理学の実験が行われた。刑務所を舞台にして、普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動してしまう事を証明しようとした実験である。模型の刑務所(実験監獄)はスタンフォード大学地下実験室を改造したもので、実験期間は2週間の予定だった。
新聞広告などで集めた普通の大学生などの70人から選ばれた被験者21人の内、11人を看守役に、10人を受刑者役にグループ分けし、それぞれの役割を実際の刑務所に近い設備を作って演じさせた。その結果、時間が経つに連れ、看守役の被験者はより看守らしく、受刑者役の被験者はより受刑者らしい行動をとるようになるという事が証明された。
ジンバルドーは囚人達には屈辱感を与え、囚人役をよりリアルに演じてもらう為、パトカーを用いて逮捕し、囚人役を指紋採取し、看守達の前で脱衣させ、シラミ駆除剤を彼らに散布した。背中と胸に黒色でそれぞれのID番号が記された白色の女性用の上っ張り (smock)、もしくはワンピースを下着なしで着用させ、頭には女性用のナイロンストッキングから作ったキャップ帽を被せた。そして歩行時に不快感を与えるため彼らの片足には常時南京錠が付いた金属製の鎖が巻かれた。更にトイレへ行くときは目隠しをさせ、看守役には表情が読まれないようサングラスを着用させたりした。囚人を午前2時に起床させる事もあった。但し、これらの服装や待遇等は、現在ほとんどの国の本物の刑務所では見受けられず、実際の囚人待遇より非人道的であり、囚人待遇の再現性は必ずしも高くはなかった。
次第に、看守役は誰かに指示されるわけでもなく、自ら囚人役に罰則を与え始めた。反抗した囚人の主犯格は、独房へ見立てた倉庫へ監禁され、その囚人役のグループにはバケツへ排便するように強制された。耐えかねた囚人役の一人は実験の中止を求めるが、ジンバルドーはリアリティを追求し「仮釈放の審査」を囚人役に受けさせ、そのまま実験は継続された。
実験中に常時着用していた女性用の衣服のせいかは不明だが、実験の日数が経過するにつれ日常行動が徐々に女性らしい行動へ変化した囚人も数人いたという。
精神を錯乱させた囚人役が、1人実験から離脱した。さらに精神的に追い詰められたもう一人の囚人役を、看守役は独房に見立てた倉庫へうつし、他の囚人役にその囚人に対しての非難を強制させた。この囚人役もまもなく離脱した。
離脱した囚人役が、仲間を連れて襲撃するという情報が入った。このため地下1階の実験室は一旦5階へ移動されたが、実験中の囚人役のただの願望だったと判明した。
ジンバルドーは、実際の監獄でカウンセリングをしている牧師に、監獄実験の囚人役を診てもらい、監獄実験と実際の監獄を比較させた。牧師は、監獄へ入れられた囚人の初期症状と全く同じで、実験にしてはやりすぎていると非難した。
看守役は、囚人役にさらに屈辱感を与えるため、素手でトイレ掃除や靴磨きをさせ、ついには禁止されていた暴力が開始された。
ジンバルドーはそれを止めるどころか、実験のリアリティに飲まれ実験を続行する。しかし牧師がこの危険な状況を家族へ連絡。家族達は弁護士を連れて中止を訴え、協議の末6日間で中止された。しかし看守役は「話が違う」と続行を希望したという。
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この実験でわかること。
○権力への服従 強い権力を与えられた人間と、力を持たない人間が、狭い空間で常に一緒にいると、次第に理性の歯止めが利かなくなり、暴走してしまう。
○非個人化 しかも、元々の性格とは関係なく、役割を与えられただけでそのような状態に陥ってしまう。
私はこれに似た経験をしたことがあります。
小学校2年のころ、クラスに「班」がありました。4人で1班でした。班では給食の準備・掃除分担・○○会といったイベントの準備を担当していました。
その班長に、担任の先生(以下I先生)は絶対的な権限を与えました。
「班長の命令には逆らってはいけない。」
「逆らうと、班を追い出して、1週間一人班にしてよい。」
「一人班は、掃除・給食の準備など、すべて一人でやらないといけない。」
要するに村八分です。
手段の可否はともかく、I先生はおそらく集団での統制を学ばせたかったのでしょう。
学期末にクラス遊戯会みたいなものがあり、各班の出し物を決める話し合いが始まりました。
班長が決めた出し物が、あまり面白くなかったので、自分なりの意見を言いました。
その瞬間、班長が「班長に逆らった。一人班。」と決定しました。
もう一人の意見をいった子も一人班にされました。
I先生は私の意見など聞かず、一人班を容認しました。
私は班の出し物に意見を言っただけで、一人班にされました。
実際は二人班でしたが。
一人班はきつかったです。
給食当番はI先生の指示に従い、私のお盆や牛乳を、二人分だけ給食室へ置いておきました。
私は彼と一緒に、給食のお盆や牛乳を取りにいきました。
教室と廊下の掃除は、一人班の私と彼が担当しました。
他の人は図書館で本を読んでいればよいということになりました。
一人班は何日か続きました。
「班長に謝罪をしないと、これからもずっと一人班。」
いつ決めたのか知りませんが、I先生からそんなルールを伝達されました。
もう一人の彼は、状況に耐えられず班長に謝り、無事復帰を果たしました。
私は意地っ張りだったので、謝らないで一人班を続けました。
ここで確認しておきたいのは、怖いのは班長ではなく、このI先生に与えられた絶対的な権力です。
一人班が続きました。
見かねたクラスメイトが掃除を手伝ってくれました。
帰りのクラス会では、I先生がこういいました。
「オサム君とコーイチ君、さっちゃんは、一人班のタケシ君を手伝ってくれました。みんな拍手。」
I先生に促され、クラスのみんなが拍手します。パチパチパチパチ。この拍手の意味はいまでも良くわかりません。拍手され、これでようやく終わるのかと思いましたが、次の日も一人班でした。
一人班を続けると、給食のおねぇさん(本当はおばさんでしたが、最近はおばさんを「おねぇさん」と言うように心がけています。)に気づかれ、叱られました。「一人分だけなんで運ぶの?」
私は正直に言いました。そうするとI先生の行動に変化がおきました。どうも給食のおねぇさんが学校に報告し、それが学校で問題になったようです。
その日、I先生から自宅に電話が入りました。
両親と先生がどういう会話をしたか知りませんが、私は両親に正座を命じられ叱責されました。しかし、事情を説明するとわかってもらえ、「それは先生が悪い。」と理解してくれました。
私は翌日も一人班を続けました。
私の取り扱いに困ったI先生は、今度は班長・班員に謝らせました。
「タケシ君、戻ってきてください。」
班長が困惑した顔で謝ってきます。
I先生は一緒に一人班だった子にも謝罪を指示しました。
「タケシ君、すいませんでした。戻ってきてください。」
彼が謝るのがおかしい事など、小学校低学年でもわかります。
本当はもう戻りたかったのですが、意地っ張りだった私は、拒否を続けました。
いまだったらさっさと刑期を終え、班長に謝ってると思います(笑)。しかしこの時は、いけるところまで一人班を続けようと思いました。当時は未熟のため言葉で反論ができず、ふてくされて反抗しました。
「うるさい、うるさい、何も聞こえない。」
こう言った直後、I先生に髪の毛をつかまれ、机の上に顔を叩きつけられました。
問題を解決できないI先生のストレスが、私への怒りへとなり、暴力として向かってきました。髪の毛がたくさん引きちぎられ、鼻血が出ました。
結局やはり私が悪いという事になり、強引に元に戻されました。
その後、一人班の決まりはなくなりました。
ちなみにこの先生は20代の女性(当時)です。彼女は権力が暴走することを知りませんでしたが、この先生の全てがだめだったわけではありません。性格の一部が、成長途中の子供だっただけです。性格の一部を除けば、十分優しさもありました。助けてもらったことも多かったです。感謝することも多かったので、恨みはありません。
若干の記憶違いがあるかも知れませんが、すべて本当の話です。
学級や部活動で似たような経験がある方は多いと思います。特に公立校の教員にはこうなってしまったタイプが多いでしょう。しかし、注意すべき点は、彼らが元々異常だったわけではないという事です。彼らは、教室で絶対的な権力を与えられた特殊な立場を続け、システム上そうなってしまったわけです。
「強い権力を与えられた人間と、力を持たない人間が、狭い空間で常に一緒にいると、次第に理性の歯止めが利かなくなり、暴走してしまう。しかも、元々の性格とは関係なく、役割を与えられただけでそのような状態に陥ってしまう。」
スタンフォード監獄実験の看守役も、アウシュビッツのヒムラーも、あなたの奥さんも、立場が暴走を生み出したわけです。
気をつけなければいけないのは、環境によっては、自分自身が暴走する可能性も十分あるということです。そこが本当に怖い話です。
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