
○福本伸行の発言
[例えば武士は、「自分はこうである」っていうイメージを大事にするんです。
そのために死んじゃっていいわけですよ。
命っていうのは自分を表現するためのエネルギーじゃないですか、ガソリンですよね。
それより自分が大事。
自分が思っている自分のイメージが大事。命よりも。]
「爆笑問題のススメ 出演時の発言」
○武士について(以下S吉)
武士のような生き方をしたいですが、武士といっても、考え方は時代によって違います。直近で武士が生きた時代は、江戸時代になります。
ずいぶん前にもこのブログで触れましたが、江戸時代中期の儒学者、室鳩巣(むろそうきゅう)の「名君家訓」に、理想の武士像が描かれています。
[ (中略)
口に偽りを言わず、
利己的な態度を構えず、
心は素直にして外に飾り無く、
作法を乱さず、
礼儀正しく、
上にへつらわず、
下を侮らず、
己が約定を違えず、
人の患難を見捨てず、
(中略)
さて、恥じを知て首を刎らるとも、己がすまじき事はせず、
死すべき場をば一歩も引かず、
常に正義と道理を重んじ、
その心は鉄石のごとく堅固であり、
また温和慈愛にして物のあわれという情感を知り、
人に情け有るを節義の士とは申すのである。]
日本放送出版協会「NHK人間講座 武士道の思想」より。一部変更
平日八時からやっている時代劇の時代考察は、かなりテキトーです。江戸時代中期以降の武士の世界は、大変な規範社会だったそうです。
江戸時代の武士は、幕藩体制の中で生きていました。
その中で、武士は自立の精神を持ちつつ、同時に組織(幕府or藩)の繁栄を追求していました。武士は自己の信念に忠実であり、生への未練を断ち切り、生死を超越した自由の身から、奉公していました。
さて、現代に生きる武士とはどういう人でしょうか。
○福本伸行の「最強伝説 黒沢」にこんなシーンがあります。
シーン1
暴走族が、公園に住むホームレス達を「正義」の名の下に襲撃。
中年オヤジ黒沢は闘う事を決意するが、ホームレス達は動けない老婆1名を見捨てて逃げ去る。黒沢はホームレスを呼び戻し、こう語る。
黒沢の発言1
[成功とか金持ちとか、仮にだめでも本当は問題なし。
誇れる、俺たちは誇りうる物語がある。
ガキの頃から何度も言われてきたはずだ。
「男だろ」って。
困っている人、力のない人たちを見捨てんな。
一つを何人かで分ける時は、譲ってやんな。
荷物はだまって重い方を、スッと持つんだぜ。
ともかく、いつも損してな。
そして笑ってな。
ガラじゃねぇがたまにはいいだろう。
今夜、そういう男になろう。]
シーン2
黒澤&ホームレス達vs暴走族との闘いが始まるも、ホームレス達は動けず。黒沢はボコボコにされる。
黒沢の発言2
[損得だけで生きてなんになる。
ましてや安楽あるいは安全、そんなものだけを追ってなんになる。
そんなことはミジンコ・ゴキブリだってやっている。
違うっ、違うっ、違うっ。そうじゃない。
俺たち人間は、人間ってのは、それ以上の、何かだろう。
それ以上の何か。つまり人間を人間足らしめている心、感情がある。
それは、たぶん少しでいいから、一歩でいいから、ましな人間になろうという気持ちだろう。
「オレがオレのヒーローであろう」、という気持ちだろう。
つまり矜持(きょうじ プライド)だろう。
もし本当にすべて失ってしまったら、それこそが本当の意味での敗者だろう。]
私も、「仕事(簿記講義)のためなら死んでもいい。」
って思えるようになれればいいのですが、今のところまだ武士ではないようです。